『葬送のフリーレン』では、エルフのフリーレンと人族ヒンメルとの間に芽生える想いがひとつのテーマになっています。1000年以上を生きるエルフと人族との間に芽生えたのは、どのような感情なのでしょう。恋愛感情なのでしょうか。それとも魔王を打倒した仲間に対する友情なのでしょうか。この記事では、ヒンメルとフリーレンの種族と時間を超えた想いの形を紐解いていきます。
- フリーレンとヒンメルの間に生まれた想いは恋愛感情なのか
- ヒンメルが世界のいたるところに建造した銅像が秘めたやさしさ
- 少しずつ変化していくフリーレンの人に対する考え方
- 種族と時間を超えた愛情の表現とその儚さ
フリーレンとヒンメルの間に恋愛感情はある?
『葬送のフリーレン』の物語の大切な要素のひとつに、1000年以上の寿命を持つエルフのフリーレンに対する、短命な人族ヒンメルの複雑な想いがあります。その想いはヒンメルが世を去った後も世界にあり続け、フリーレンの行動や感情に少しづつ変化をもたらしていきます。
ヒンメルのフリーレンに対する愛情はどのような感情だったのでしょう。恋愛感情だったのか、ともに魔王を倒す旅をした仲間への友情だったのか。物語の中での行動や言葉の端々から、二人の感情を読み解いてみましょう。
ヒンメルのフリーレンに対する感情が見え隠れする場面は作中にちらほらとありますが、以下が特に印象的な場面です。
- 花冠の贈り物
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ヒンメルがフルーレンに花冠を作った場面で、いつか故郷の花「蒼月草」を見せたいと語った。
- 流星群の夜の誓い
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美しい夜空の流星群を見ながら「50年後に集まって、もう一度この流星を見よう」と仲間たちと再会を誓い合った場面
- 鏡蓮華の指輪の贈り物
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石畳に跪いてフリーレンの左手に指輪をはめるという、プロポーズを彷彿とさせる行動
- 村の子供のスカート捲り
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フリーレンのスカートをめくった村の子供に対し、ヒンメルが激怒し暴言を吐いた場面
- 生涯独身で通したヒンメル
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生涯独身を通したと思われるヒンメルの想い
それぞれ、見ていきましょう。
ヒンメルの花冠
ヒンメルがフリーレンのために花冠を作る場面は、特に印象的なシーンです。ヒンメルはフリーレンが魔法で作り出した花畑から慎重に花を選び、想いを込めて花冠を編みます。
特に印象的なのは、ヒンメルがフリーレンの頭に花冠をそっと被せた後、彼女を見つめながら、自分の故郷の花「蒼月草」を「いつか君に見せてあげたい」と語った瞬間です。この台詞は、フリーレンに対する想いが詰まっており、プロポーズと思われても不思議のない素敵な場面です。
流星群の夜の誓い
ヒンメルとフリーレンの間の特別な瞬間として描かれているのが、流星群の夜の誓いです。それは10年間の長きにわたる冒険の末、最終的に魔王を撃破し、王都に凱旋した時のことです。夜空には50年に1度の半世紀流星(エーラ流星)が輝いており、彼らはこの美しい流星群を背景に、「50年後に集まって、もう一度この流星を見よう」という特別な約束を交わしました。
ヒンメルは実際には、50年後の再会だけではなく、ずっとフリーレンと一緒にいたいという思いもあったでしょう。しかし、フリーレンの性格や考え方を熟知している彼は、その考えを自分の心に留め、黙って彼女に別れを告げます。人間にとって50年はとても長い年数ですが、エルフのフリーレンにとっては、大した時間ではないのでしょう。そんな時間の間隔の差を感じさる儚い場面でもありました。
ヒンメルがフリーレンに贈った鏡蓮華の指輪
討伐依頼の報酬として、ヒンメルがフリーレンにアクセサリーを送る回想シーンです。ヒンメルは討伐依頼の報酬として、フリーレンに好きなアクセサリーを選ぶよう伝えます。フリーレンが深く考えずに選んだアクセサリーは、鏡蓮華の指輪でした。鏡蓮華の花言葉は「久遠の愛情」。通常、恋人に贈る意匠であり、その指輪を見た時のヒンメルの反応から、この意味を知っていた可能性が高いです。
ヒンメルは、フリーレンにこの指輪を贈る際、ただ手渡すのではなく、石畳に跪いてフリーレンの左手に指輪をはめてあげました。まるでプロポーズを彷彿とさせる行為です。彼のこの行動は、フリーレンへの愛情を暗に示していると考えられます。この時のフリーレンはヒンメルの深い感情には気づいていなかったでしょう。しかしヒンメルが亡くなった後の旅の途中でその花言葉の意味を知った時、何かを感じたのではないかと考えられます。
村の子供相手にマジ切れする勇者ヒンメル
ヒンメルたちの冒険の途中で、村の子供がフリーレンのスカートをめくる回想シーンがあります。このとき、普段は温厚な性格のヒンメルが、子供相手に「何やっとんじゃクソガキ!ぶっ〇してやる!僕だって見たかったのにー」と激しく怒鳴りつけます。
普段は温厚な性格の勇者ヒンメルが、子供相手にマジ切れして暴言を吐いてしまうというこのギャップから、彼がフリーレンに対して抱く感情の種類が想像できます。彼女に対するいたずらに激しく反応する一方で、自分も彼女に興味を持っている「自分も見たかった…」「自分以外に見せたくない」というような童貞っぽい心情が表れています。
また他の場面では、フリーレンの投げキッスを受けてヒンメルが失神するという回想シーンがあります。少なくともヒンメルは、フリーレンを異性として、強く意識しているのは確かでしょう。
生涯独身で通した老人ヒンメル
魔王を討伐し世界を救ったイケメンの勇者ヒンメルは生涯独身であったと考えられます。年月が経ち老人となったヒンメルと再会する場面でも、家族がいるような描写がなく、彼は生涯独身であった可能性が高いです。これは、彼がフリーレンに対して抱いていた感情の深さを示唆しているとも考えられます。フリーレンに対するヒンメルの感情は、短命な人族と長命なエルフの間で揺れ動く、一言では言い表せない感情が見え隠れします。
フリーレンにはヒンメルへの恋愛感情はある?
フリーレンはもともと他人に対して深い関心を示さない性質を持っていましたが、ヒンメルの死とその後の経験を通じて、彼女の他者への態度は変化し始めています。この変化により、フリーレンがヒンメルに対して恋愛感情のような特殊な感情を持つ可能性が示唆されています。
フリーレンがヒンメルに恋愛感情を持つとしたら、それは彼女の記憶の中のヒンメルに対するものであり、彼女自身が実際に恋愛感情を自覚しているかどうかは明確ではありません。フリーレンとヒンメルの想いを紐解いていきましょう。
フリーレンの心情は?ヒンメルへの恋愛感情?
『葬送のフリーレン』において、エルフは長くは生きるが恋愛感情や生殖本能が欠落しているという存在です。特にフリーレンは他人への関心が薄い性格です。それは1000年以上という途方もない長い年月が作り上げた彼女の性格です。
しかし、魔王討伐後、様々な経験を通じて他者への態度が少しずつと変化しています。そのきっかけのひとつに、共に魔王を倒した仲間であるヒンメル死があるのは確かでしょう。
フリーレンはヒンメルの葬儀で涙を流し「ヒンメルを知っておけばよかった」と口にします。
ヒンメルたちとの魔王討伐の旅は10年です。1000年以上生きているフリーレンからすればとても短い年月です。しかしその短い期間での経験がフリーレンの心に変化をもたらしたのです。1000年以上生きている彼女の心に変化をもたらすほどの出来事だったという事です。そこに特別な想いがあるというのは想像に難くありません。
ヒンメルの銅像が語るフリーレンへの想い
ヒンメルとフリーレンの関係は、人間とエルフの異なる寿命という重要な要素に深く根ざしています。フリーレンはエルフであり、人間と比べてはるかに長い寿命を持っています。この寿命の違いが、彼らの関係に特別な意味を与えています。
ヒンメルは魔王討伐の帰路の行く先々で勇者一行の銅像や自分の銅像を作成しました。フリーレンが銅像を作る理由を問うと「後世にしっかりと僕のイケメンぶりを残しておかないと!」というナルシストらしい回答をするヒンメル。しかしその後に続く台詞が本心なのでしょう。
「一番の理由は、君が未来でひとりぼっちにならないようにするためかな。おとぎ話じゃない。僕たちは確かに実在したんだ」
儚くて素敵な台詞です。
ヒンメルは、フリーレンが未来で一人ぼっちにならないようにするために、冒険で訪れた各地に銅像を残していたのです。彼のこの行動は、彼女に対する深い思いやりと愛情を示しており、エルフと人間の異なる寿命が彼らの関係に与えた独特で特別な想いです。
ヒンメルが作らせた銅像は、何十年、いや何百年経っても残ることで、フリーレンが永遠に仲間存在を…彼の存在を感じ続けることができるようにとの思いが詰まっていました。この銅像を通して、ヒンメル亡き後も残り続けるフリーレンに対する愛情が伝わってきます。ヒンメルのこの行動は、仲間亡き後も長い年月を生き続けるフリーレンの将来を思いやる彼の優しさを表しています。
まとめ:フリーレンとヒンメルの間に恋愛感情はあるのか
この記事では、フリーレンとヒンメルの間に芽生えた繊細で深い感情を掘り下げてきました。ヒンメルは異性としてフリーレンを意識しており、恋愛感情を超えた深い愛情があったと推測できます。一方で、他人への興味が欠落しているフリーレンに少しづつ人の心を知りたいとう感情が芽生えました。以下に、その複雑な関係性の要点をまとめます。
- エルフのフリーレンと人族ヒンメルの異なる寿命が複雑な感情が生んでいる
- ヒンメル死が他者への関心が薄いフリーレンの心に変化をもたらした
- ヒンメルのフリーレンに対する想いは恋愛感情を超える愛情だっと考えられる
- ヒンメルの銅像には将来のフリーレンに対する優しさと愛情が込められている
- フリーレンがヒンメルに対して恋愛感情のような特別な感情を抱く可能性が示唆されている
フリーレンとヒンメルの物語は、時間と種族の壁を越えた深く儚い愛情を描いています。これからフリーレンの心がどのように変化していくのか、楽しみですね。
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