アイスホッケーの魅力を侮るなかれ!『ドッグスレッド』

『ゴールデンカムイ』の作者が新たに手掛けている新連載を、皆さんはもう読みましたか?

アイヌ文化を日本中に広めた話題作『ゴールデンカムイ』は、2022年4月に完結した後も、アニメ最終章や実写映画の制作が決定していて勢いを失うそぶりを見せませんよね。

そんな『ゴールデンカムイ』の作者である野田サトル先生が現在連載していらっしゃる、『ドッグスレッド』という漫画を今日はご紹介したいと思います。

・『ゴールデンカムイ』が好きだった方
・アイスホッケーに詳しくない方
・重厚感のあるスポーツ漫画を読みたい方

このような方々に特にオススメしたいです!!

それでは、『ドッグスレッド』の魅力を一緒に紐解いていきましょう!

目次

作品について

『ドッグスレッド』は、2023年7月に集英社より発行された「週刊ヤングジャンプ」35号にて連載を開始しました。集英社が運営しているアプリ『ヤンジャン!』でも読むことができます。

簡単なあらすじです。

主人公・白川朗(シラカワ ロウ)は、フィギュアスケートの中学大会でトップクラスに優秀な選手で将来有望と言われていました。しかし、片親ながら懸命に選手活動を支えてくれていた母の事故死がきっかけとなり、全日本ジュニア選手権大会の優勝が決まった瞬間、会場で大暴れ。そのせいでロウはスケート業界から追放されてしまいました。新聞に「狂犬王子」というあだ名をつけられたロウは、ロウと双子の妹・春名を引き取ってくれた祖父に連れられて、苫小牧にやってきました。スケート人生を断たれながらもリンクで走ることが大好きだったロウは、苫小牧で盛んなスポーツであるアイスホッケーと出会うことになるのです……

『ドッグスレッド』は、野田先生の過去作のリメイク

作者は、大人気漫画『ゴールデンカムイ』などを描かれた野田サトル先生です。

実は野田サトル先生は『ゴールデンカムイ』で一躍有名になる前に、『ゴーリーは前しか向かない』『スピナマラダ!』といったアイスホッケーを題材とした漫画を手掛けていらっしゃいます。

『ゴーリーは前しか向かない』は読み切り漫画で、第54回ちばてつや賞ヤング部門大賞を受賞しました。また、『スピナマラダ!』は2011年から2012年の1年間、『ゴールデンカムイ』や『ドッグスレッド』などと同じく『週刊ヤングジャンプ』に連載されました。

『スピナマラダ!』は、アシスタント業がメインだった当時から実力を期待されていた野田先生による渾身の連載作品でしたが、読者からの反応が思うように伸びなかったことから、編集長の「時間を大切にしてほしい」という意向もあってやむなく連載を1年で終了してしまいました。

その後に始まった『ゴールデンカムイ』の連載の裏で、実は野田先生は「もし『ゴールデンカムイ』がヒットしたら、『スピナマラダ!』の完全版を描かせてほしい」と編集長にお願いしていらっしゃったそうです。

そして『ゴールデンカムイ』は見事大ヒットを遂げ、野田先生の念願叶って連載が始まったのが『スピナマラダ!』のリメイク作品である『ドッグスレッド』であるというわけです。

このような連載の背景を知ると、もう読む前から野田先生の『ドッグスレッド』にかける思いの強さが伝わってきますよね。

『スピナマラダ!』と『ドッグスレッド』を見比べてみると、物語の大筋は変わっていませんが、ストーリーの見せ方やキャラクターのデザイン、イラストの迫力がパワーアップしています。

例えば、主人公であるロウに注目してみると、前作よりもキャラクターが際立っている印象を受けます。

喧嘩っ早いところは前作から共通なのですが、「狂犬”王子”」というあだ名がつけられるのも納得の、少々潔癖なところがさらに強調して描かれるようになり、性格の魅力や面白さが増しました。また、顔もより端正になり、王子らしくなりました。

私は今まで、スポ根漫画で喧嘩っ早いキャラクターというとなんとなくガサツなイメージを持っていたのですが、ロウの場合は几帳面で潔癖というギャップがあり、その新鮮さが個人的には好きです。

このように各所でパワーアップしている『ドッグスレッド』を見ていると、『ゴールデンカムイ』で表現力を高めた野田先生が今描くべくして描いていらっしゃる作品なのだとつくづく感じます。

野田先生が11年温めていらっしゃったアイスホッケー物語の本当の結末を、舞台も役者も揃ったこの今見ることができると思うと、期待が高まります。

見どころは「宮森中vs北陵中戦」!

『ドッグスレッド』の最初の見どころは、ロウが助っ人として参戦することになる、宮森中学アイスホッケー部と北陵中学アイスホッケー部の試合です。

このお話でも、進化した野田先生による工夫があちこちに感じられます。『ドッグスレッド』の読者は、アイスホッケーに馴染みのない方がほとんどだと思いますが、そんな方でも一度読めばアイスホッケーを「面白い」と感じることだろうと思います。

言ってしまえばこの試合は、弱将校である宮森中が強豪校である北陵中にボコボコにされる試合です。

元々宮森中は屈指の強豪校だったのですが、廃校が決定したことで優秀な選手が北陵中に引き抜かれ、プレイヤーの数も足りないほどにチームが弱体化してしまいました。そのため敵チームである北陵中にはかつて宮森中のチームメイトだった人もいます。

負けが確定している試合だけれど、宮森中で共に頑張ってきた仲間と最後まで走り抜きたい。せめて1点だけでも奪取したい。そんな宮森中の部員の思いに触れ、はじめは助っ人役に後ろ向きだったロウも次第にやる気を見せます。

今までアイスホッケーに触れたことのない読者にとっては、初めて見る試合が、味方の負けが確定している物悲しい試合なのです。「えっ!?」と思いませんか?

しかし、心配は無用です。強大な壁をすり抜けてなんとか1点でもゴールを決めようと奮闘する仲間達に、皆さんも気付けば前のめりで応援したくなっているはずです。その中でルール違反を連発しながらもフィギュアスケート由来の奇想天外な技で突破口を作るロウ。主人公の魅力も見どころです。

果たして試合の結果はどうなるのか、ラストシーンはぜひ皆さんご自身の目で確かめて見てください!

『ゴールデンカムイ』ファンには嬉しい一コマも……

ここまで『ドッグスレッド』のオススメポイントを紹介してきましたが、『ゴールデンカムイ』ファンの皆さんに耳寄りな情報があります。

野田先生は『ゴールデンカムイ』執筆時から「スター制度」を作品に取り入れていました。「スター制度」とは、手塚治虫先生の作品群が有名ですが、同じ顔立ちのキャラクターが俳優や女優のように名前を変えてさまざまな作品に共通して登場する、というものです。

『ドッグスレッド』でもスター制度が採用されています。『ゴールデンカムイ』で鎬を削っていたキャラクターたちが現代を生きていて、アイスホッケーのユニフォームに身を包んでいる姿を見ると、「顔が同じだけで全く違うキャラクター」と分かってはいながらも少し嬉しくなってしまいます。

あなたの推しもアイスホッケーをしているかも知れませんよ……!? ぜひ探してみてください!

『ドッグスレッド』オススメです!

今回は、大ヒット作品『ゴールデンカムイ』を生み出した野田サトル先生の渾身の最新作『ドッグスレッド』をご紹介してきました。

『ドッグスレッド』は、野田先生が過去に執筆しながらも完結まで及ばなかった『スピナマラダ!』の完全版です。ストーリーもイラストもキャラクターの魅力もパワーアップしていて、見応えアリです。

アイスホッケーに馴染みがないから……と言って敬遠してしまうのはもったいないです。

アイスホッケーに詳しくない人でも楽しめるような工夫が随所に凝らされており、気付けば夢中になってしまうでしょう。

まだまだ連載開始して日が浅いので、最新話に追いつくには今がチャンスです。

『ドッグスレッド』は『週刊ヤングジャンプ』のほか、『ヤンジャン!』というアプリでも読めますので、興味を持ってくださった方はぜひ読んでみてくださいね!

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