週刊少年ジャンプなどの週刊誌に連載されていたラブコメ漫画といえば何を思い浮かべるでしょうか?
最近であれば『五等分の花嫁』や、ハーレム系の代表作である『To LOVEる -とらぶる-』などが挙げられます。
そんな中でも“学園生活”、“かわいい女の子”、“ハーレム”といったラブコメに必要な要素がバランスよく織り交ぜられたのが、『いちご100%』です。
「あまりハーレムハーレムしているのはちょっとな…」「ちゃんと主人公とヒロインたちが恋愛しているのが読みたい!」といった人にはちょうどいい具合のラブコメ漫画になっております!
単行本を擦り切れるほどに読み込んだ私が、そんな『いちご100%』の魅力を解説いたします!
可愛らしいヒロインたちが魅力の『いちご100%』!
『いちご100%』は、2002年から2005年にかけて、週刊少年ジャンプで連載されていた河下水希先生によるラブコメ漫画です。
当時ともに連載されていた漫画として『NARUTO』や『BLEACH』、『アイシールド21』『DEATH NOTE』などの有名タイトルがあります。バトル漫画、スポーツ漫画が熱い展開を繰り広げる中、『いちご100%』は少し“えっち”なラブコメ漫画としての位置を確立し、19巻の単行本が刊行されました。
これは2010年代に『ニセコイ』が25巻という異例の刊行数を記録するまでは、歴代1位の長期連載でした。さらに単行本は800万部を突破し、少年漫画におけるラブコメジャンルの漫画では“大ヒット”の分類になると思われます。ジャンプで長期連載された恋愛漫画はジャンプの歴史を見ても片手で数えるほどしかなく、人気連載だったことが窺えます。
そんな『いちご100%』の魅力は、なんといっても可愛らしいヒロインたちでしょう。
作者の河下水希先生は女性で、少女漫画雑誌にも連載していたこともあり、ジャンプでは中々異彩を放つタッチで女の子を描いています。主人公の男の子を取り巻く複数のヒロインたちは、その誰もが可愛く、読者はたくさんの女の子の中から“推し”ができること間違いありません。
“推し”のヒロインができると、主人公の男の子と結ばれてほしいという気持ちが強くなってきて、読者はヒロイン以上に切ない気持ちになること請け合いでしょう。
恋愛漫画では当たり前なのかもしれませんが、ヒロインたちの“喜怒哀楽”の表情がとてもうまく表現されていて、河下先生の偉大さを感じます。
特に“哀”の表情は、読者が見ていると悲しくなってくるものばかり。現実で女の子にあんな表情を作らせてしまってはいけません。反対に“喜”も大変緻密に描かれていて、ヒロインたちの眩しい笑顔についつい恋をしてしまった読者もいるかと思われます。
また男子ウケを狙ったのか、肌の露出が多めの読者サービスカットも豊富です。笑
とは言っても、恋愛漫画としてのストーリーはしっかりとしていて、最終巻にかけての盛り上がり具合は少女漫画と比肩してもいいレベルでしょう。
少年漫画の主人公の男の子って、みんな鈍感なんですよね。もっと早くヒロインたちの気持ちに気づいてくれ!頼むから!
主人公の男の子は果たして最後にどのヒロインを選ぶのでしょうか。最後の最後まで揺れる恋愛感情の天秤に、読者も翻弄されることでしょう!
私にとって記憶を消して読みたい恋愛漫画でもある『いちご100%』。まずはそのあらすじを解説していきます。
あらすじ
主人公である「真中 淳平」は平均的な中学三年生の冴えない男の子です。
成績は中の下で、運動神経もいまひとつである真中の趣味は「映画」。映画を見ることはもちろん、映画を撮ることにも興味があり、将来の夢は映画監督になることです。
そんな真中がある日、ふと屋上へと足を運ぶと、頭上からいきなり女の子が降ってきます。
真中が何事かと驚きながら、着地に失敗した女の子に目を移すと、そこには捲れ上がったスカートと思いっきり露出した「いちご柄のパンツ」が。
女の子は落下した失態とパンツを見られた恥ずかしさでその場から逃げるように去りますが、その際に見えた美しい顔が真中の心を一瞬にして奪ったのでした。
一人になった屋上で、真中は“いちごパンツの少女”のものと思われるノートを発見します。
「東城 綾」という名前が記されたノートを手掛かりに、真中は邂逅を果たした少女を探すのですが、同級生である「東城 綾」は明らかにビジュアルが異なっていて、求めている女性は見つからないのでした。
見知らぬ少女に想いを寄せる中、返すのをすっかり忘れていた「東城 綾」のノートをふと開いてしまう真中。
そこに書かれていたのは、情景やセリフが精巧に描かれたファンタジー小説なのでした。
映画監督を志す真中にとってノートに書かれた小説は脚本としても衝撃的であり、“小説家”という夢を持つ綾と次第に惹かれ合い、共鳴していきます。
一方で未だに“いちごパンツの少女”を見つけられない真中でしたが、友人から、“いちごパンツの少女”は学年のマドンナ的存在である「西野 つかさ」ではないかと助言を促されます。
勢いのままに「西野 つかさ」に告白をして、付き合うことになる真中ですが、やはりつかさは“いちごパンツの少女”ではないと勘付いていきます。
季節は移ろって、冬の終わり。真中と綾は同じ高校を、つかさは別の学校を受験することになります。
受験会場である高校にて、なんと真中は“いちごパンツの少女”と再び巡り逢います。
そして、探していた“いちごパンツの少女”が、先日夢を語り合った「東城 綾」であることに気付かされ、真中の心は大きく揺さぶられます。
“夢”という大きな志をともにできる「東城 綾」。
人違いから付き合うことになり、親密になった「西野 つかさ」。
真中は「東」と「西」、どちらに歩を進めるのでしょうか。いや、方角というものは「東」と「西」だけではありませんよね。「北」と「南」にも進むことができるのです。
真中を中心とした恋の「東西南北」関係は、一体どのような結末になるのでしょうか。
そして、真中の夢の行方は??
あなたは誰派?かわいくて魅力的な4人のメインヒロイン!
ラブコメ漫画である『いちご100%』には、主人公の男の子と、その男の子を取り巻く複数のヒロインたちが登場します。
ヒロインたちは作者独特のタッチで描かれ、唯一無二のかわいさを持っています。
登場する女の子は誰もが特徴的で、読者同士の中でも誰を“推す”か。そして真中と誰がゴールインしてほしいか。といった論争が絶えません!
実際、河下先生のもとに送られてくるファンレターの中には「真中とヒロインの○○をくっつけてください!」というものが多かったそうです。
今回は、主人公の真中は一旦置いておいて、ほぼ主役といってもいいヒロインの4人を詳しく解説していきます。(ネタバレになってしまうため、全てを網羅したプロフィールにはしていません)
清純派黒髪美少女『東城 綾 (とうじょう あや)』
主要ヒロインである「東城 綾」は、真中が中学三年生の時に出会う美少女、“いちごパンツの少女”の正体です。
温厚でお淑やか、大和撫子という言葉が似合います。
ドジっ子キャラであり、真中曰く人の3倍は多く転んでいるようで、運動神経が芳しくないのは一目瞭然。
しかし、学業成績は優秀な上に文学に造詣が深く、高校の文化祭で真中とともに映画を製作した際には脚本を手掛けるなど、執筆方面の才能も非常に秀でています。
普段は前髪を分けて三つ編みにし、黒縁眼鏡をかけて垢抜けないビジュアルですが、髪を下ろし、眼鏡を外すと、誰もが二度見する美人に変貌します。
真中との初対面時は髪を下ろして、眼鏡を外した姿をしていたために、教室での容姿と異なり、真中に“いちごパンツの少女”だと認知されるまでに時間がかかりました。
自身が現実逃避のためにノートに書きなぐっていた短編小説を真中に褒められ、自身の存在を肯定されたことで真中のことが好きになります。
ひたすら真中を一途に想い続けるのですが、内向的な性格のため中々秘めたる好意を真中に伝えることができません。
真中と進学先を合わせたり、イケメンの同級生からアプローチされても真中への想いを変えなかったりと、真中に対する想いの芯は強く、恋愛では献身的に尽くすタイプです。追いかけられるのが好きな方は東城推しになるのかなとも思います。
女の子らしいショートカットマドンナ『西野 つかさ (にしの つかさ)』
同じく主要ヒロインである「西野 つかさ」も、真中と同じ中学校出身で連載初回から登場します。
中学では学校のマドンナ的存在であり、外観は金髪のショートカット(中学校でそんなのありなのか…)で誰もが認める美人です。
中学三年生の冬に真中の斬新な告白(懸垂しながら告白)に惹かれ、付き合うこととなり、二人の関係は始まります(実際には、つかさは告白される前から真中のことを認知していました)。
高校では女子高に進学したのにも関わらず、学校の門に他校の男子から出待ちされるほどの人気っぷりを誇ります。
性格はサバサバしていて明朗快活ですが、人の気持ちを読み取ることに長けていて、良くも悪くも真中が自分のことをどう思っているかどうかを敏感に感じ取ってしまいます。
作中を通して自分の夢を探し、“パティシエ”への道を志して、最終的にはフランスへ留学することになります。
真中に対しては自分の気持ちと真摯に向き合って接するため、真中を振り回してしまうこともしばしばあります。
恋愛では男性を引っ張っていくタイプで、追っかけることが好きな男性からすると彼女が“推し”になること間違いないでしょう。
河下先生はつかさのことを難産キャラだったと評しています。
作中でキャラの方向性が最後まで決まりきらなかった分、それがつかさのややミステリアスな性格となって反映されたのかもなとも考えられます。
精神的にも物理的にも包容力抜群『北大路 さつき (きたおおじ さつき)』
3番目の方角である「北大路 さつき」は高校編から登場する主要ヒロインです。
腰まである長いポニーテールと大きな胸がトレードマークで、つかさ以上に明快な性格です。
運動が得意な反面、勉強は苦手です。男勝りで社交的な性格から、学内の男子にも人気があります (男はおっぱいが好きなんだなぁ)。
初登場は高校編。ともに補欠合格だった真中とさつきは、入学初日の職員室で互いを認知することになります(その前に近くの河原で遭遇する場面もある)。
真中とは入学後、隣の席になり何かと対抗心を燃やしていたのですが、接していくうちに趣味や価値観が合うことが分かり、真中への想いは友人として感情から恋愛感情へと発展していきます。
時には大胆過ぎるアプローチで真中を困らせることも多いのですが、自分の気持ちにストレートであり、真中が「東」と「西」に大きく揺れる中、純粋に真中のことを想い続けます。
恋愛では男性と二人三脚で走ってくれるタイプで、人と付き合う上で最も大事にしていることが“価値観”だという人はさつきを推せるでしょう。
絶対的ヒロインである綾やつかさと比べると、やや冷遇されたポジションでもあり、作中では切ない表情を浮かべることが多いです。悲しみ…
ロリっ娘が好きなあなたに『南戸 唯 (みなみと ゆい)』
最後の方角を担うメインヒロインで、登場も他の3人と比べると最も遅いです。
真中より1つ年下の幼馴染であり、いわゆる妹キャラ的な存在です。ボブカットヘアーに童顔が特徴で、明快というよりかは天真爛漫な性格です。
初登場時は6年ぶりに真中の地元へと帰ってきており、そこからしばらくはヒロイン的な扱われ方をしていたのですが、徐々に妹キャラとしての地位を確立しました。
真中に時折異性を意識させることもあるものの、恋愛対象としては見られておらず、東西南北の中でも登場回数は少なめ。真中に対しては、わがままを言って困らせたり、マウントを取って困らせたり、調子に乗って困らせたりします。
つかさと同じ女子高に通うことになるため、つかさの後輩にもあたります。
恋愛ではどういうポジションなのでしょうか。笑
ロリ系が好きな人にはウケるのかもしれないです。好きな人は好きってやつでしょうか。笑
まとめ
私が初めてこの作品を読んだのは10代半ばでした。
当時は考えも浅く、ただのお色気漫画のようなポジションでこの漫画を読み、作品を考察することはもちろん、ストーリーすらよく把握していませんでした。
しかし思春期になり、半人前ではありますが、異性に対して意識をもつようになってからは、この漫画の意味合いが変わってきます。登場人物の気持ちが痛いほど分かり、それぞれの人物に深く感情移入することになったのです。
フィクションだと把握していましたが、展開していく物語の方向に何度心を痛めたか分かりません。
そして大人になった今読み返してみると、「あぁ、10代はこんな気持ちになったことあったなぁ」と、物語を俯瞰的に見ることができたのでした。自身も様々な経験をしてきているが故の感想だと思います。
未読の少年少女たちには是非この作品を読んでいただき、人生のバイブルにしてもらいたい所存です!笑
大人になられた未読の方も、あの時淡い気持ちを思い出すために読んでみませんか?
自信をもってお勧めします!
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