皆さんは「人間関係」で悩んだとき、どのように対処しますか?
一人で悶々と抱え込んでしまう方もいれば、週末に友達と会って話して発散する方もいらっしゃるでしょう。もしかしたら、普段は穏やかなのに、原因人物のいないところで人が変わったように愚痴を言いまくる同僚にびっくりしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに私は他人に話を聞いてもらってスッキリする派ですが、中にはあまり人には言えないモヤモヤや、自分自身でもなぜモヤモヤするのか分からないようなこともありますよね。
今回ご紹介する『ブラックガールズトーク』は、さまざまな「人間関係に関するモヤモヤ」を取り上げぶった斬る、痛快な作品です。
職場、学校、女子会、家庭……さまざまなコミュニティに潜む「問題人物」を、主人公たちと一緒に暴いてみませんか?
- 職場の人間関係で悩んでいる方
- 対処が面倒くさい人が身近にいる方
- 一緒になって怒ってくれる人が欲しい方
- なぜかいつも人間関係がうまくいかなくなる方
などは必見です!!
作品と作者について
『ブラックガールストーク』は、小学館が運営するサイト『裏サンデー』にて2019年5月19日より配信が開始されました。一度連載が終了していましたが、『ブラックガールズトークリターンズ』と題して、現在シーズン2が連載されています。
『裏サンデー』ではcase 1・2と最新話のみ読むことが可能ですが、小学館が提供しているアプリ『マンガワン』では、全話無料で読むことができます。
2023年6月29日時点で、全6巻発売されています。読破しやすい量であるのが嬉しいですね。
作者はマキノマキ先生です。『ブラックガールズトーク』の他には、年齢詐称の37歳女性の恋愛を描いた『花梨さん、つじつまが合いません!』や『大家不動産の優良事故物件』などを描かれています。
キャラクター紹介
平和で平凡な人生を送っていると信じていた…「高橋奈緒」
奈緒は24歳のOLで、容姿、成績などどれをとっても平凡な生活を送っています。「普通が一番」という言葉を実感する一方で、脳みそがツルツルになってしまいそうなくらい平和な日々に退屈しており、友達のあやと佳央梨との女子会で、嫌な人物が成敗される話を聞くのが大好きです。真ん中分けの黒髪のボブヘアの女性です。
優しいけれど、言うときはビシッと言う「三浦あや」
あやは奈緒の高校時代からの友人です。保育士として働いており、他の2人と比べると穏やかな性格をしており、2人のように嫌な人物に対してはっきりと物申せない場面もときどきあります。
同じく保育士である隼人と交際しています。3人の女子会はあやの家で開催されることが多いので、隼人は女子たちのブラックな毒舌っぷりに時々怯えています。あやは茶色の髪でメガネをかけています。
商社勤めの面白いお姉さん「太田佳央梨」
佳央梨はあやの従姉妹で、2人よりも年上です。大手商社に勤めており、3人の中でも特に強烈な話をいつも持ってきてくれます。元気な性格なので、佳央梨が提案する解決策はあやの提案より豪快だったり荒療治だったりします。薄茶色のボブヘアで、毛先が外ハネなのが特徴です。
おすすめポイント①日常の「モヤモヤ」の理由がわかる!
『ブラックガールズトーク』を読み始めれば、すぐに「こんな人いるいる!」と思わず膝を打つことでしょう。そして、奈緒たちは私たちのモヤッとした気持ちを代弁してくれるだけでなく、「理由がわからないけれどモヤモヤしてしまう」ことに対してもその理由を教えてくれるということに気がつくと思います。
例えば、「case.1 自称サバサバ系の女」では、自称サバサバ系の女、略して「自サバ女」の赤川さんが取り上げられます。「自サバ女」という類の女性は、SNSの広告やドラマ化などで一時期話題になりましたよね。『ブラックガールズトーク』では、「自サバ女」を次のように表現しています。
- 大概ネチネチしていることが多い。
- 自サバ女は「女ってネチネチしている」「男友達と一緒の方が楽」などとよく言うが、本当にサバサバした人は男女の区別はしないものだ。
- “ハッキリ”(とものを言うこと)と”無神経”(にものを言うこと)を履き違えている。
- サバサバ系を謳っているくせに、ちゃっかりネチネチドロドロとした不倫をしていたりする。
『ブラックガールズトーク』は、問題提起の前編と裁きが下される後編の2編編成が続くオムニバス形式で、1話1話の尺が短いのですが、どのお話でも「嫌な人物」の特徴が短く的確にまとめられているのが、面白さの理由の1つだと感じています。
おすすめポイント②迷惑な人たちに制裁が下される!
『ブラックガールズトーク』は、嫌な人物の特徴を紹介するだけの「あるある漫画」では終わりません。嫌な人物をどのように対処すれば良いかを提案してくれる話もあれば、主人公たちの周りの人たちが嫌な人物に攻撃してくれて、嫌な人物の肩身が狭くなる清々しい話もあります。
例えば、「case.13 役立たず育休男」で取り上げられるのは、タイトル通り「育休を取得してイクメンアピールをしているくせに、家では妻に指示されたことしかできない平気でゴルフ旅行にも行く男」なのですが、そんな男を制裁してくれたのは、子供を同じ保育園に通わせている母親たちです。
その男は元プロ野球選手で現在もメディアに出演する機会が多く、息子を連れて登園した初日は母親たちにチヤホヤされていました。
しかし、男のイクメン発言に実情が伴っていないと分かると、母親たちは打って変わって冷たい態度をとります。その時の男の焦りっぷりと言ったらなかったです。
余談になりますが、男を制裁する母親の筆頭に立っていたのは、以前のお話で迷惑なモンスターペアレントとして描かれていた病院長夫人でした。
自分に矛が向かうと非常に厄介な人物でも、矛先が違えば頼もしくも感じてしまうのが面白いです。
イチオシのお話「case.36 デモデモダッテちゃん」
私が特におすすめしたいお話は、悩みを相談してくるくせに、こちらがアドバイスしたり意見を言ったりすると「でも」「だって」と拒絶する「デモデモダッテちゃん」のお話です。
『ブラックガールズトーク』のさまざまなお話の中でも、特に共感できる部分が多かったため、イチオシとして紹介させていただきました。
「デモデモダッテちゃん」こと檜山みのりは、奈緒の中学時代の友人でした。ある日奈緒の元に中学校ぶりにみのりから連絡が来て、2人は久しぶりに会うことになりました。
みのりとの思い出といえば、みのりが好きな先輩に告白するために仲良しグループのみんなであれこれ作戦を練ったものの、みのりが「でも」「だって」と躊躇っている間に先輩に恋人ができてしまったことでした。奈緒はそのエピソードを思春期らしい思い出としていつもの女子会のメンバーに話しますが、佳央梨に「じゃあ来週その、『デモデモダッテちゃん』に会うんだ。頑張ってね!」と言われてしまいます。
初めはびっくりした奈緒でしたが、考えれば考えるほど『デモデモダッテちゃん』の名にふさわしいエピソードが思い出されます。
「学生時代の楽しかった思い出を別の感情で上書きしたくない」と危惧しながら当日を迎えた奈緒でしたが、案の定みのりの「デモデモダッテちゃん」っぷりは健在だったのです……
私がこのお話で好きなのは、あやと佳央梨がそれぞれ提案してくれた対策を奈緒が実践するシーンです。
あやが提案してくれた作戦は優しすぎて効果がないのですが、佳央梨が提案した、かなり思い切ったとある戦法が効果テキメンだったのです。私も今後「デモデモダッテちゃん」に遭遇したらこの戦法をぜひ使いたいと思いました。
ちなみに、この「デモデモダッテちゃん」の後日談が「おまけ」で描かれています。
『ブラックガールズトーク』では、話によっては「おまけ」がついています。その簡単に内容を説明すると、本編で痛い目にあった嫌な人物がさらにコテンパンに叩きのめされる、というものです。
「デモデモダッテちゃん」ことみのりを成敗してくれたのは、みのりの新しい職場でできた友人でした。その友人は他の人たちと違って、みのりのクズ彼氏に関する堂々巡りの愚痴をずっと聞いてくれるのでみのりは嬉しく感じていましたが、友人の彼氏はお金持ちで心配事が全くない様子。みのりは自分の愚痴を聞いてもらっているのになぜか寂しい気持ちになるのでした。
この「おまけ」の好きなところは、「こういう人物なら『デモデモダッテちゃん』に対抗できるのか!」と気づかせてくれる点です。
みのりの友人には自慢しているつもりがなく、無自覚にみのりを傷つけているところがまた良いですよね。
「欲しいのは承認? それとも私の意見?」これはこのお話の扉絵に書かれているキャッチフレーズですが、実に言い得て妙ですね。
『ブラックガールズトーク』オススメです!
以上、女子3人が身の回りの嫌な人物たちを痛快にぶった斬る作品『ブラックガールズトーク』をご紹介してきました。
職場の人や友人との関係で悩んだことがある方、厄介な人に絡まれて困っている方などは、きっと共感できる部分がたくさんあるでしょう。
私は『ブラックガールズトーク』を読んでいつもストレス発散をしていますが、同時に「私もうっかりこの人たちのような言動をしていないかな?」と不安になることもあります。
なぜかいつも人間関係がうまくいかないと感じている方は、『ブラックガールズストーリー』を読めば、ひょっとすると心当たりを感じてドキッとするお話と出会えるかもしれません。
興味を持ってくださった方は、ぜひ読んでみてください。
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